引本で鰹節の歴史と伝統を守る場所「カネ進商店」前編

引本で鰹節の歴史と伝統を守る場所「カネ進商店」前編

紀北町は古くより鰹節の生産が盛んだ。
そのことは安政5年(1858年)に発行された「諸国鰹節番付表」から知ることができ、町内では長島、引本が番付入りしている。
その諸国鰹節番付表でこの地域トップだったのが引本地区。
今回は引本地区で鰹節つくりの伝統を受け継ぐカネ進商店代表の奥村卓也さんに案内いただき、生節作りの現場を見学した。

カネ進商店について

カネ進商店は今から30年ほど前、代表の卓也さんと父・進さんの二人で事業を開始した。進さんはもともと奥様の実家で鮮魚の加工に携わっていたそうで、卓也さんが高校を卒業するのを待って独立したそうだ。
カネ進商店は主に鰹節や生節といったカツオ製品の製造を行っている。
製品は地元紀北町をはじめ、松阪・伊勢といった近郊都市、そして同業者への出荷を行っている。

やめた方から道具を譲っていただいているので古い道具もある。
安政3年(1856年)に作られたセイロはこの奥に大事にしまってあるそうだ。

今は削り節が普及しており鰹節を見る機会は少なくなったが、一昔前には一家に一台鰹節削り器があったり、昔は結婚式の引き出物には必ず入ったりしているもので生活になじみ深いものだった。

生節について

今回作業を見学させていただく生節はその鰹節を乾燥させる前の製品で、他地域では生利節(なまりぶし)や若節(わかぶし)と呼ばれることもある。
紀北町で5月から6月にかけて水揚げされるカツオはほどよい大きさと脂の乗りで、生節にはぴったりだそうだ。

使うカツオの大きさはとても重要で、生節は2kgにいかない程度のもの、鰹節は2kg以上のものを使用する。生節は水分を含んでおり保存期間が短いため、真空パックに入れている。あまりにも大きいと節を半分に切らなければならないので、これくらいの大きさのものを使うそうだ。鰹節は乾燥させて水分を抜く工程で縮むので、大きいサイズのカツオを使う。

ちなみに脂が乗っているかの見方はカツオの皮を見ればいいらしい。脂の乗ったカツオは脂で皮がめくれているそうだ。

カネ進商店の生節生産のピークは夏。
紀北町民は夏の暑い時期に生節と町内の特産品「くき漬け」を一緒に食べるのが定番。夏の暑い時期にご飯が喉を通らなくても、この組み合わせなら食べれるという人も多いとか。まさに紀北町民にとってなくてはならない「ソウルフード」だ。

地域への貢献

地元の小学生への工場見学を通して文化や伝統を伝える活動もしている。
さらに町内の魚をなるべく使いたいということで、島勝浦(町内の漁港)の大敷でカツオが揚がったときには、そのカツオで生節を作ったそうだ。

 

カネ進商店の特産品はこちらでご覧いただけます。


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