引本で鰹節の歴史と伝統を守る場所「カネ進商店」後編

引本で鰹節の歴史と伝統を守る場所「カネ進商店」後編

解体

生節作りが始まるのは午前5時。カツオを3枚におろすところからスタートする。生節作りは1日仕事のため、夕方までに終わらせるにはこれくらいの時間から始めないといけないそうだ。

この日使用するカツオは皮がめくれているので、脂が乗っている。脂が乗っていることは舌でも確認済で、作業前日に刺身で食べたら脂が乗って大変おいしかったそうだ。

親子2人、息の合った作業で次々にカツオを3枚におろしていく。あっという間に捌かれるさまは見ていてとても気持ちがいい。
ちなみにカツオは頭を落とすところ以外は簡単に捌ける魚らしいので、カツオが一匹まるまる売られているのを見かけたらぜひ挑戦してほしい。

カツオは捨てるところがほとんどない魚で頭はタコの餌、心臓・肝は塩辛、そしてハラモは干物へと姿を変える。今でこそ頭はタコの餌になっているが、昔は加工してみかんの肥料になっていたそうで、みかん農家の方がよく買いに来ていた(紀北町を含む東紀州は柑橘系栽培が盛ん)。

 

茹で

3枚におろしたカツオを茹でるため、カゴへ並べていく。
カツオに火が通りやすいように、身をやや傾けて置いている。傾きをつける工夫として一番端のカツオの下に捌いたときに出た骨を入れている。
さらに一番下のカゴには沸騰時の泡で身が崩れるのを防ぐため、すだれが敷かれている。

 

3枚におろされたカツオをお湯に1時間半入れ火を通していく。
実はこの工程が味の決め手。カツオの中心にじわーっと火を入れ、厚い身の中心まで確実に通すことがおいしい生節、鰹節を作るポイントである。
カツオを煮るのに、この地域の代名詞ともいえる銚子川の水を使っている。ここにもカネ進商店の地元のものを使いたいというこだわりが見える。

 

茹で上がったカツオ。
すべてのカツオへまんべんなく火を通す必要があるため、茹でている間は釜に付きっきりだ。
お湯が減りすぎると上部のカツオに火が入らず、温度が下がりすぎるとすべてのカツオへの火の入り具合が悪くなる。そのため釜の様子を見ながら慎重に水を足している。
途中で中を見るわけにはいかないので、長年の経験が頼りだ。

 

骨抜き

骨が残っていると真空パックを破ってしまうので、丁寧にカツオから骨を抜いていく。頭の方の皮は鱗があり固いので、その部分を取り去る。生節の皮が半分しか残っていないのはこれが理由だ。
この作業で一番難しいところはカツオを手に取るところだ。カツオの身はとても柔らかいので大事に手に取らないと身が崩れてしまう。身が崩れてしてしまうと商品としての価値が一気に下がるため、ここが一番難しいそうだ。

 

いぶし

カネ進商店では桜や樫の木を使って、約1時間かけてじっくりといぶしていく。
火はつければ終わりというものではない。外からの風や屋内の煙の状況によって燃え方が違うらしい。工場にはいくつもの窓があり、外の風に合わせて窓を開けることで火の調整をしているそうだ。

 

いぶし終わったカツオから香るにおい、そしてこんがりときつね色に姿を変えた姿は食欲をそそる。皮のてかりはカツオに脂がある印だ。
セイロを重ねているので、位置によっては煙が行き渡りにくい部分がある。カツオの様子を見ながらセイロの入れ替えをすることで、全体がきれいなきつね色に仕上がるようにしている。

 

 

整形

形を整え、骨が残っていないか最後の確認をする。
この時カツオの端の部分を落とすのだが、昔は子どもがこの切れ端を目当てによく作業場へと遊びにきていたそうだ。

 

 

真空・消毒

パック詰めして真空、最後に消毒をして完成だ。
地元の人は真空詰め前の生節をあらかじめ予約しており、この日も真空されずそのまま売られていく生節がいくつもあった。出来立てでまだほんのり温かい生節を食べれるのは地元ならではの特権だ。

 

 

 

 


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