豊かな海を守れ!! 島勝浦藻場再生事業

豊かな海を守れ!! 島勝浦藻場再生事業

砂漠化

食糧の供給不安や水不足、貧困の原因を作る現象で、深刻な環境問題の一つだ。

そして海も砂漠化が深刻だ。磯焼けという海の砂漠化が日本の沿岸部を悩ませている。

漁業の町・紀北町ももれなくそうだ。

町、地域、そして大学が連携し、豊かな海を守るための戦いを開始した。

沖から見た島勝浦

紀北町・島勝浦

紀北町南部の町、島勝浦。
昔から漁業が盛んな町で、江戸時代はクジラ、明治時代から現在まではブリ漁が盛んな町である。なかでもブリ漁は1898年にこの地域で初めて大敷網を導入した場所で、現在もブリ漁は島勝大敷が継続して行っている。

島勝浦を支える島勝漁港

無線機がなかったころに網を見張っていた魚見小屋が今でも残っていて、そこから見る景色は絶景である。
夏には和具の浜海水浴場や中学校を改装した宿泊施設「けいちゅう」を目当てに多くの観光客が訪れている。

夏になれば多くの人でにぎわう和具の浜海水浴場。今年度より地元の方の負担軽減のため、駐車場料金自動徴収機がふるさと納税の寄附を使い設置された。

海の砂漠化・磯焼け

豊かな海を脅かす現象。磯焼け。

この島勝浦の沿岸でも事態は深刻だ。

そもそも磯焼けとは何か。
海から海藻の姿が消えることだ。

海藻が茂る場所のことを藻場という。海に住む生き物にとっては藻場の存在は大変重要だ。藻場は魚の生活や産卵の場所、海藻の光合成による水の浄化や酸素の供給などが行われている。

藻場がないということは、魚が寄り付かなくなるということだ。
漁業従事者の多い紀北町では死活問題である。

実際に漁業者からは昔に比べて魚が減ったという話を聞いた。

本来の磯の様子

島勝浦の磯の様子。海藻は生えていない。

ではなぜ海から藻場が消えてしまうのか。

地域によって原因は異なるので、はっきりこれが悪いとは言えないが、いくつか要因となるものがある。高水温や光量不足、水質悪化、魚類などの食害、そして人間による影響だ。

三重大学とNPO法人SEA藻が実際に島勝浦の海に潜って調査したところ、島勝浦から藻場が姿を消している原因であろうものがわかった。それがガンガゼだ。

厄介者・ガンガゼ

ガンガゼ。白く光るのは目で、オレンジの部分は肛門。

ガンガゼはウニの一種。長いトゲが特徴的で、トゲには毒があり大変危険な生き物だ。ウニの一種というと読者のみなさんは、食べたらおいしいのではないかと思った方もいるだろうと想像する。九州など一部の地域では食べられているそうだが、えぐみがあり、味自体も薄くあまりおいしくないそうだ。

ガンガゼの主食は藻類。
ガンガゼが大量に発生すると、海藻が食べ尽くされてしまう。

こうして磯焼けは発生する。

豊かな海を後世に残すため

島勝浦では8月11日、9月22日、23日の3日間、NPO法人SEA藻とボランティアダイバーによってガンガゼの駆除が行われた。
特製の器具を使用し、ダイバーが一つ一つつぶしていく地道な活動だ。
つぶしたガンガゼはクロダイやマダイ、小魚が食べ、なるべく海に負担がかからない方法で駆除を行っている。この3日間で約3万5千個のガンガゼが駆除された。

駆除当日はボランティアダイバーを含め、たくさんの方の協力で行われた。

駆除に使用している道具。ガンガゼの危険から身を守るため、リーチの長い道具は必要不可欠だ。

海中の様子。所狭しとガンガゼがいるのがわかる。

食事目当てに集まる小魚。つぶしたガンガゼは次の生き物へとつながっていく。

効果はすでに出ており、駆除後の調査では目に見えて数が減っていることを確認できた。また地元漁業者からは、「これまで定置網にガンガゼがくっついておりそれを払い落とす作業が必要だったが、今はそれをしなくてもよい」との声も聞いている。

島勝浦の藻場再生への戦いは始まったばかり。約3年かけて、藻場が再生されていくことを確認していく予定である。

※海中の写真はNPO法人SEA藻様提供のものを使用しております。


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