「人生最大のチャンス」 20年目へつながれた稲米舎物語

「人生最大のチャンス」 20年目へつながれた稲米舎物語

紀北町矢口浦にある稲米舎(とうべや)。地元の旬の食材がおいしく食べられるとあって、町内外の多くの方に愛されるお店です。
その稲米舎に今年存続の危機がおとずれます。その危機を救ったのは、本当に奇跡のような出会いでした。

稲米舎とは

 稲米舎は紀北町の矢口浦にある創業19年の飲食店です。紀北町や尾鷲市の旬の食材を使った、素材の味を引き立たせる料理を楽しむことができます。お店は明治中頃に建てられた築130年余りの古民家を改装したもの。今の建物にはない、なんだか懐かしい感じを思い出させます。
 創業者は東 徳(ひがし のり)さん。店を始めたきっかけは自分が生まれ育った、この稲米舎の建物を守りたかったから。料理は全くの素人で自信をなくしながらも、毎日試行錯誤を重ねる日々でしたが、地元の食材を使い始めたことがきっかけで多くの方から愛されることとなりました。

現店主の東さん

稲米舎を襲った危機

 体調があまり優れない東さん。近年では店を開けるのもしんどく、何日も営業を休むことが増えてきました。何度も店をやめようと思いましたが、予約がいっぱいでやめることができません。実際に昨年も店を閉店しようとしましたが、お客様からの熱い要望を受けて、できませんでした。かねてから店を継いでくれそうな人がいれば教えてほしいと各方面に依頼していましたが、いい人は見つかりません。その間にもお客様から予約の電話がたくさん入ってきます。しかしその予約も東さんの体調の都合で断ることが増えてきました。このまま予約を断り続けるのは耐えられない。今年3月、ついに東さんは断腸の思いで店を閉めることを決心します。

彗星の如く現れた新店主

 東さんが店をやめると決めたその日。運命を変える一人の男性、上野 誠広(うえの あきひろ)さんが矢口浦を訪れていました。彼が矢口浦を訪れた理由、それは紀州備長炭を製造する「えむてぃ」を見学することでした。飲食店で働いていた上野さんは、プロによる「魚の炭火焼」の動画を見て感動し、炭に興味を持つようになりました。いろいろと炭について勉強をしていくうちに一つのキーワードにあたります。それがこの地域の伝統的な炭「紀州備長炭」です。(注:紀北町は江戸時代紀州藩の一部でした。)妻の「近場で作っているところはないの?」という一言がきっかけで、えむてぃのことを知りました。さっそく代表の津村さんに連絡を取り、炭焼きの見学へ行きました。
 津村さんは上野さんと話をしているうちにピンとひらめきました。そしてその場で東さんに連絡を取り、上野夫妻を稲米舎へ連れて行くのです。

2人をめぐり合わせた津村さん

この話を断ったら2度と成功しないんじゃないか。断る理由はどこにもなかった

 東さんは津村さんが突然連れてきた上野夫妻に運命的なものを感じます。そして上野さんに稲米舎を継いでほしいと話します。話を聞いた上野さんは困惑します。しかしこの日の帰宅後、上野さんは一晩で東さんに質問したいことをびっしりとまとめて連絡を取り、再度稲米舎へ訪問しました。このときの、上野さんが紙にびっしりと書いた質問と、上野さんが持ってきた炭と七輪で焼いたアジの丸干を上野さんの奥さんが文字通り跡形もなく食べたことが東さんはとてもいい印象として残ったそうです。
 そして話はトントン拍子で進み、上野さんは週に1~2回、稲米舎が忙しいときに手伝いを始めました。東さんはこれまで後継者が見つからなかったこともあり、夫から「あんまり期待したらあかん」という風に言われていましたが、どんどんと期待を膨らませていきます。そして運命の出会いから3カ月。上野さんは紀北町へと引っ越してくるのです。
 上野さんが稲米舎を継ぐ決め手はなんだったのか。上野さんの人生設計には、ゆくゆくは田舎で飲食店を経営したいと思っていたものの、もう少しあとのことだと思っていました。(注:稲米舎は紀北町を縦断する国道42号線からも遠く、車通りが少ない場所にあります。)でも稲米舎はそれを覆す魅力がたくさんありました。そんな魅力的な店を「継いでくれ」と言われるのは、人生で一度来るか来ないかわからないビッグチャンス。断る理由がなかったというのが、稲米舎を継いだ理由でした。

新店主の上野さん

稲米舎は次のステップへ

 今年の12月までは、これまで通り東さんがメインの営業が続きます。来年の1月から東さんはお店から離れ、上野さん主体の新しい稲米舎がスタートします。
 稲米舎は四季折々の料理を出すので、1年間を通じて旬のものを勉強したいと思っていた上野さんでしたが、東さんの体調も考慮し、1月から新体制でスタートすることにしたそうです。そして次のステップへの第1歩として、10月20日に稲米舎主催の料理イベントが開催されました。

イベントのチラシ

 イベント内容は、えむてぃで炭焼きを見学し、その後稲米舎に戻り、紀州備長炭を使った料理が味わえるというもの。県内各地から来た参加者はめったに見ることができない窯出しの見学。そして稲米舎に戻ってからおいしい料理に舌鼓を打ち大満足の様子でした。
 上野さんが「(炭焼きの見学があるので)こんなに天気を気にしたことは人生で一度もない」というほど気合を入れて実施したイベントは無事大成功で幕を閉じました。

炭焼き体験の様子

紀州備長炭を使った囲炉裏体験

この日のメイン料理。鯛の塩釜を取り分ける様子

稲米舎に来て作った自家製炭焼き台で調理する上野さん

デザートに出されたマシュマロの炭火焼き。苦手だったけど好きになったと言う方がいるほど好評でした

 上野さんが東さんと出会ってまだ半年、稲米舎に来て3カ月。毎晩遅くまで店のことやいろんなことを語り明かした2人の関係は、ずっと昔から知っていたかのようになりました。
 稲米舎は来年1月に生まれ変わりますが、これまでの東さんが培った伝統と上野さんが持ってきた炭焼きが融合した素敵な料理が提供されていくでしょう。
 紀北町ふるさと納税では、稲米舎のお食事券を返礼品として用意させていただいております。
 最後にもう一度だけ東さんの料理が食べたいという方も、上野さんが作り出す新しい稲米舎を応援したいという方も、ぜひふるさと納税を活用して稲米舎を応援してください。
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